2025年09月10日

森本淳さんに聞く「25年使われ続けるサービスの作り方」とは

ビジネスのプロフェッショナルに聞く!スマートソーシャルの【あなたの知らないビジネス世界探訪-vol.34-】

 
世の中にいるビジネスのプロフェッショナルに取材をして、あなたの知見をちょっと深める#ビジ探のコーナーです。

今回の#ビジ探は、個人事業主としてクラウドサービスアライアンス責任者や
AI・RPA・IT企業で顧問/アドバイザーを行う森本淳さんへ取材を行いました。
「エンジニアから営業に。そしてWebサービスの企画へ」職種や業界の境界を超え、常に“未来を見据えた仕組み”をつくり続けてきた方がいます。

リクルートでヒットサービスを企画・立ち上げ、現在は複数の企業で顧問や営業育成、サービス設計のアドバイザーとして活躍する仕組みの専門家です。
この記事では、そんな森本さんのキャリアの原点から、リクルート時代の挑戦、今も変わらず追い続ける「人にしかできない価値」について、じっくり語っていただきました。

DX担当者、ビジネスをつくるすべての人にとって、ヒントが詰まっています。是非ご覧ください!

森本淳 MORIMOTO JUN1965年生まれ。
1986年SIerでC言語技術者として制御や通信案件を担当。
1988年リクルート入社、新卒・中途採用領域や住宅、高校生マーケットのWEBサービス企画・立上げ、「ゼクシィNET」「キーマンズネット」「ホットペッパー」各事業の推進・組織長を歴任。
2019年に31年勤務したリクルートを退職し、人材斡旋大手でミドルオフィスを担当。
2021年独立し、クラウドサービスのアライアンス責任者、AI・RPA・IT企業の顧問や研修トレーナーを務める。昔から海の近くに住んでおり、相談相手はいつも海。

 

 

1.エンジニアと営業の側面を身に着けたビジネス

 

永岡

現在はどういったビジネスを行っていますか?

森本さん

現在は、個人事業主として複数の企業で顧問や営業育成のコーチを行っています。これまでの経験を活かしながら、人にしかできない価値とは何かを追求し続けています。

永岡

弊社が保守運用を行っているオンラインサービス「引越れんらく帳」でも森本さんにサポートしていただいていますね。

森本さん

はい、お手伝いさせていただいております。

永岡

弊社とも関わりのある森本さんですが、これまでどのようなご経験をお持ちなのでしょうか?

森本さん

元々エンジニアでフロントエンド・バックエンドの開発を経験しているので、システムの構造を理解したうえで営業や新しいサービスの仕組みやアルゴリズムを考えていました。

永岡

エンジニアからの営業は珍しいですね!学生時代はどのようなことを学んでいたのでしょうか?

森本さん

中学生の頃「手に職をつけて未来を創造したい」と思い、当時注目されていた半導体分野を学ぶために、第一軍の普通科高校の進学をやめて工業高校へ進学し化学を専攻しました。将来は半導体や化学系の企業に進むことを考えていました。

森本さん

工業高校に進んだ後、自分の小遣いでMZ-2000というコンピューターを購入し、コンピューターの面白さに没頭しました。これからはコンピューターの時代が来ると確信し、情報系の専門学校へと進学しました。

永岡

卒業後はどこに就職しましたか?

森本さん

卒業後は、大手通信システム会社の関連会社に就職して、C言語を学びつつ、仕様書作成や公衆回線での暗号開発、JANコードのシステム構築、ロボットの制御などを手がけました。当時は開発業務が中心で、多くのエンジニアが泊まり込みで働いていました。

永岡

かなり過酷な労働環境の中でエンジニアをされていたんですね….

森本さん

社長と近い距離にいたというものあり、労働環境を改善できないかと2回ほど直談判を行いました(笑)

永岡

働く仲間のために直談判を行うとは、なかなか勇気がいるといいますか、とても正義感ありますね!

森本さん

そうですね(笑)残念ながら環境が変わることがなく、そこで退職を決意しました。

 

2.リクルートでの9年間の営業⇒商品企画への転機

 

永岡

その後はどちらに転職されたんですか?

森本さん

会社の中から環境を変えるのが難しいなら、会社を変革させる企業へ行けば変えられるのではと思い、リクルートへ転職しました。当時のリクルートは「活き活きと働ける次世代社会の創造」を理念に掲げていて、私の正義感・責任感に深く響いたというのもあります。

永岡

なるほど、確かにリクルートは他社への影響力も大きい企業ですよね。リクルートに入社してからは、何をされていましたか?

森本さん

最初は営業職のA職としてスタートしました。先輩に勧められたカーネギーの書籍を読み、「人の心をどう動かすか」を実践しながら試行錯誤し、トップセールスになりました。そして数%の確率と言われるアルバイトからの正社登用が決定しました。

永岡

すごい確率なのですね!

 

3.ヒットWebサービス企画の裏側

 

森本さん

その後も「お客様の一歩先を考える営業」という姿勢を大切にして、人材採用のコンサルティング営業としてキャリアの幅を広げていきました。

永岡

営業職は、どれくらい続けられたんでしょうか?

森本さん

9年続けました。9年続けた後(1997年)に、リクルート中国支社の人材営業部からリクルート本社のインターネット事業部へ異動しました。

永岡

インターネット事業部ではどういった事をしていましたか?

森本さん

当時リクルートが所業の核としていた就職情報誌(紙媒体)を廃止し、それを完全にWeb化するプロジェクトをリードました。
それまでは就活の肝になるエントリーシートの送付(当時は郵送)をWEBで可能にし、学部・学科ごとのセミナー案内やネクストアクションを自動で案内する仕組みを構築しました。

永岡

紙の時代からの大きな進化ですね。

森本さん

それ以外でも採用イベント(セミナー)での仕組み改善に取り組み、受付業務の簡素化やエントリーシートのWEB受付等、学生と企業の業務効率化の取り組み、自動返信やバーコードによる参加確認の仕組みを開発したりしました。WEBの仕組みですが、人が対応しているかのようなユーザー体験の設計を大切にしていました
また、適性検査の企画にも関わり、単なる学力だけでは測れない“企業ごとの求める人材像(コンピテンシー)”を可視化する研究にも携わりました。

永岡

リリースから約25年経った今でも使用されている仕組みですね!

森本さん

そうですね、現在まで続いている仕組みの根源のような所を創造していました。

森本さん

就職情報サイトの後は、数々のWebサービスを企画・設計して来ました。中途採用・住宅情報サービス・進学情報サービス・結婚情報サービスなど、WEBメディアの立ち上げやマーケット浸透等に携わりました。
その後は、BtoBサービスの設計や営業責任者などを担当しました。その後、地域情報サービスの編集長を6拠点行い31年に渡りリクルートに在籍しました。

永岡

新しいwebサービスを企画・設計する際はまず何を行いましたか?

森本さん

どれも社会の変化を見据え、未来がどうなるのかを考えてからサービスの設計を考案していました。ただ、あまりに未来を先取りしすぎると、周囲が考えに追いついてこれないので、段階的なリリースを心がけていました。

森本さん

例えば、住宅情報サービスを例に出すと、当時マンション販売の業界では「モデルルーム見学にどれだけの人をならばせるのが勝負」という考えが一般的でした。そんな中「今後はネットを使って。買いたい人(買える人)にモデルルームをちゃんと見せる時代が来る」と説明しても、なかなか業界の方は受け入れてくれませんでした。その背景や未来の姿を丁寧に説明する機会を作ることで、業界の方にも納得してもらいながら住宅情報サービスの立ち上げを進めました。

永岡

なるほど、今ある社会のサービスではなく将来を見据えたサービスだから、将来も続くサービスを展開できたんですね。

 

4.森本さんの人生観

 

永岡

数々のサービスのDX化に携わってこられた森本さんですが、ビジネスを設計する上で意識していることはありますか?

森本さん

リアルとデジタルの融合をうまく行いつつ「人にしかできない価値とは何か」を問い続けながら、サービス設計の現場に立ち続けていますね。ネットを通して人が本来持つ可能性をどう最大化するか、人が生き生きと働いて暮らせる社会を実現するにはどうするかを考えています。IT(AI)がやれることは任せればよい。

永岡

確かに、ネットは人を豊かにする道具であるべきですもんね。とても素敵な考え方です。

永岡

弊社代表の酒井から、森本さんはゴルフがかなりお上手だと伺ったのですが、プライベートではどう過ごされていますか?

森本さん

興味があることはすぐに行動に移します。なのでプライベートは多趣味です(笑)プラモデルやラジコン、野球、車、ゴルフ、サーフィン、マラソン、スキー、スノボ、アイススケート、マラソン、ピアノ、ドラム、トランペット、バイオリン、1級船舶免許を持っていたり、他にも色々と行っていて趣味の幅はとても広いですね。

永岡

凄いです(笑)好奇心と行動力が並外れていますね。ビジネスもプライベートも全力で楽しまれているのが伝わってきます。

永岡

最後に、数々の仕組みを考案されてきた森本さんから今の社会人へメッセージをお願いします。

森本さん

先人は超えるためにある」ですね。僕が将来を見据えてサービスを創ってきましたが、今あるサービスをずっと続けるのではなく、どんな未来になっているのか想像して先人の生み出したサービスを超えるような新しいものを世の中に生み出してほしいです。

 

これまで、エンジニア・営業・サービス企画と多様な領域を横断しながら、“仕組み”で社会を動かしてきた森本さん。その根底には、変化を先回りし未来をデザインするという一貫した姿勢がありました。

現在、森本さんにも関わっていただいている「引越れんらく帳」は、東京電力ホールディングスのグループ会社であるTEPCO i-フロンティアズ様が運営しているサービスです。
電気・ガス・水道のインフラに加えて、マイナポータルの連携により自治体へのオンラインによる転出届の提出、転入・転出における来庁予定の連絡が可能となりました。

スマートソーシャルでは、月間1,500万PV超のコンテンツ運用、高セキュリティ対応、インフラ系プラットフォームの開発・運用、音声・娯楽コンテンツ配信など、要件定義・仕様書作成からシステム開発・保守運用まで幅広く対応しております。
プロジェクトでお困りの際は、是非HPのお問い合わせよりご相談ください。